若手が昇進に魅力を感じるかは〇〇で決まる?3名の意見をもとに考える

「最近の若手は昇進意欲がない」──。人事担当者なら、一度は耳にしたことのあるこの言葉。果たして本当でしょうか?2024年に実施された日本経営協会の調査によると、「昇進したくない」と考える若手社員は約6割にのぼり、5年前の調査と比較して15.9ポイント増加しています。こうしたデータを見る限り、確かに昇進を望まない若手は増えていると言えそうです。
※参照元:日本経営協会 若⼿社会⼈就労意識ギャップ調査報告書2024

どこの企業も欲しい若手社員。関西ぱどでも、20代社員の採用を進めています。彼らを採用し、長く働いてもらうために、まず必要なのは「若手がどんな気持ちで働いているのか」を知ることではないでしょうか。そこで今回は、関西ぱど人材サービス事業部で働く20代の若手社員3名にグループインタビューを実施。彼らのリアルな声から、昇進に対する価値観と企業が取るべき対応策について考えてみました。

なぜ若手は昇進を望まないのか

変わりゆく若者の価値観──社会環境の変化から読み解く
近年、終身雇用が崩れつつあり、若者の間では「会社が定年まで自分を守ってくれるとは限らない」という認識が広がっています。利益を上げている大企業でさえ、希望退職を募る時代です。「自分のキャリアは企業任せではなく、自ら築いていくものだ」という考え方になるのも自然なことだと言えます。その結果、昇進に対する価値観も変化し、「管理職になれば安泰」とは考えられなくなってきています。

インタビューから読み解く、昇進を望まない三つの要因

① 責任増大と長時間労働への不安
インタビューでは、「昇進はしたいですか?」との質問に対し、責任増加と長時間労働を不安視する声が読み取れました。管理職の上司が残業で疲弊している姿を見れば、「自分も同じ道をたどるのでは」と心配してしまうのも無理はありません。「管理職になったら、今よりも大変になるだけ」と思われてしまうと、昇進意欲は低下してしまいます。

② ワークライフバランスの重視
「仕事と私生活のバランスの理想は?」との質問に対し、ワークライフバランスの確保が昇進意欲と密接に関係していることが読み取れました。プライベートよりも仕事を重視する人ほど、昇進に対して前向きな気持ちを持っているのです。前述の通り、「昇進=長時間労働」とセットになったイメージがこのような意識につながっているのだと考えられます。「長時間労働で会社に身を捧げるよりも、自分の時間を大切にしたい」という価値観が、昇進を避ける要因の一つとなっています。

③マネジメントよりも、個人のスキルアップを求める意識
若手社員の中には、組織をまとめる管理職よりも、自分自身のスキルを磨き、専門性を高めることに価値を感じる人が増えています。終身雇用が崩れつつある現代では、「会社に依存するよりも、個の力を高めて市場価値を上げたい」と考える人が多く、昇進がその延長線上にないケースもあります。「成長はしたいが、管理職になることが唯一の選択肢ではない」という認識が広がっているのです。

このように、若手の昇進意欲が低下している背景には、社会環境の変化による価値観の変容があります。企業が昇進を魅力的に感じてもらうためには、これらの要因を理解し、制度や環境を整えることが求められます。

企業側の対応策

これらの背景とインタビュー回答をふまえ、企業が取り組みたい施策を以下の3つに整理しました。

① メンター制度の導入
「理想とする上司の条件とは?」「社内であこがれる上司はいますか?」これらの質問への回答から、身近に憧れる存在がいるかどうかが、その会社で描くキャリアを大きく左右することが分かりました。理想の上司像である「率先垂範」「傾聴姿勢」「寄り添い」を実践し、キャリアの分岐点に立つ若手社員に自身の経験を踏まえながら将来の可能性を一緒に考えられるメンターの存在が必要不可欠です。

キャリアを積んだ30代以降の社員は、自らの経験を糧に若手に寄り添える存在でありたいですね

② 管理職の魅力を伝える環境づくり
「管理職になると責任が増える」「プライベートの時間が減る」といったネガティブな印象を払拭するためには、何よりも現管理職が充実感を持って働く姿を見せることが大切です。百聞は一見に如かず。今の上司が理想的かどうかが、昇進に対するイメージを変えます。企業全体として、その意識を持つことが大切です。

◆具体的な施策
・ワークライフバランスを確保しながら管理職として働ける制度(フレックスタイム制、リモートワークの活用など)
・管理職の魅力(やりがい、達成感など)を伝える機会を作る

③ 昇進を「成長の機会」として捉えられる環境の整備
「昇進=負担が増える」ではなく、「昇進は成長のチャンスである」と感じられる環境づくりが大切です。「関西ぱどでどんな存在になりたいですか?」「2025年の目標を教えてください」これらの質問への回答から、「昇進意欲には個人差があるものの、組織に好影響を与えたい」「目先の目標は見据えていて、成長機会を求めている」という意識は共通して持っていることが分かりました。昇進という形でなくても、組織にとって影響力を持つことには関心があることを忘れてはなりません。

◆具体的な施策例
・「影響力のあるポジション」を増やし、管理職以外のキャリアパスも提示(プロジェクトリーダー、専門職など)
・昇進を「業務範囲が広がる機会」として捉えられるよう、段階的なキャリアアップ制度を導入

まとめ

昇進に対する意識は、「昇進したい/したくない」の単純な二択ではなく、現在の管理職の姿に魅力を感じられないことが要因かもしれません。長時間労働や業務負担の増加といったネガティブなイメージが先行するなかで、企業としては「昇進=責任が増えること」ではなく、「成長の機会」として捉えられる環境を整えることが大切ではないでしょうか。昇進によって得られるメリットや影響力を実感できるかどうかが、意識の変化につながるポイントになるでしょう。

今回の取り組みのきっかけは、「昇進したくない若手が6割まで増加」という調査を見て、「本当にそうなのか?自社の若手にも話を聞いてみたい」と考えたことでした。インタビューを経て、自社を見つめ直す良い機会にもなったので、ぜひ皆さまも若手社員の声を直接聞いてみてはいかがでしょうか。

いつの時代も、「今の若者は・・・」という世代間ギャップの議論はあります。でも、遠ざけるのではなく、まずは「彼らが何を考えているのか?」を知ることが大切です。彼らの本音に耳を傾けることから、未来の組織づくりが始まります。

インタビュー項目は以下の通りです
①入社動機を教えてください
②関西ぱどのどんな所に惹かれましたか?
③面接を受けた時、何を確認しましたか?
④いつまで働き続けたいか?
⑤入社後に遅れていると感じたものは
⑥昇進はしたいですか?
⑦どのような職場で働きたいですか?(職場環境を期待しますか?)
⑧理想とする上司の条件とは?
⑨社内であこがれる上司はいますか?
⑩自身のチームに期待することは?
⑪関西ぱどでどんな存在になりたいですか?
⑫活用したい制度はなんですか?
⑬仕事と私生活のバランスの理想は?
⑭自己成長のために行っていることはありますか?
⑮これからどんな研修/スキルを学んでいきたいですか?
⑯2025年の目標を教えてください

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