
こんにちは、地元採用ナビ編集室です。
今回のテーマは「在宅ワーク」。コロナ禍で急速に普及した在宅ワークですが、企業・求職者の間では意見が分かれています。
総務省「令和6年版 情報通信白書」※1によると、企業のテレワーク導入率は2019年の約20%から2020年に47.5%まで急増し、その後も約50%前後で推移しています。一方、LINEヤフーやメルカリなど大手企業では「出社回帰」が進んでおり、対面コミュニケーションを重視する動きもあります。しかし、Indeedの検索トレンド※2では「リモートワーク」での検索が2019年以降右肩上がりに増加。企業は出社、求職者はリモートを希望――採用現場ではこのギャップが生じています。


そこで今回は、このギャップをどう捉え、採用にどう活かすべきかを探るため、20~60代の女性169名を対象にアンケートを実施しました。
「在宅ワークは本当に必要なのか?」「どんなメリット・デメリットがあるのか?」
女性求職者のリアルな声をまとめています。女性採用を強化したい企業の皆さまは、ぜひ参考にしてみてください。
●調査概要(N=169)
エリア:全国
性別:女性
年代:20ー60代
方法:ロコトク会員へのオンラインアンケート
実施日:2025年10月1日~31日
女性採用には“適度な在宅ワーク”が有効
「在宅ワークはどの程度必要ですか?」という質問に対し、「非常に必要」「ある程度必要」と回答した求職者は52%。つまり、在宅ワークの有無は 少なくとも半数の女性にとって志望度を左右する要素 になっています。
ただし、仕事探しで最も重視されるのは依然として 「仕事内容」 です。そのため、在宅ワークを取り入れる場合も、求人票には 業務内容を具体的かつ分かりやすく記載することが欠かせません。たとえ在宅ワークを取り入れていても、仕事内容が曖昧なままでは応募につながりにくく、ミスマッチの原因にもなり得ます。
“適度な在宅ワーク”と“分かりやすい仕事内容の説明”の両方が必要です。

在宅ワーク経験者に聞いた!メリット・デメリットのリアルな声
近年は「出社回帰」の動きが強まっていますが、その背景には 対面コミュニケーションの重要性が再評価されていることがあります。では、実際に在宅ワークを経験した人は、どのようなメリット・デメリットを実感しているのでしょうか。リアルな声をまとめました。
■ 在宅ワークのメリット
在宅ワークの最大のメリットは、やはり 「通勤時間の削減」。特に家事や育児を担う女性にとって、時間の余裕が生まれる点は大きな魅力です。
- 通勤時間の削減:朝の準備や移動の負担が減り、疲れが軽減されることで集中して業務に向き合える。
- 家事・育児との両立がしやすい:子どもの登校や体調に合わせて働けるほか、昼休みに家事を済ませるなど、時間の使い方に柔軟性が生まれる。
- 自由度・集中力の向上:自分のペースで仕事ができ、職場の人間関係に起因するストレスが減ることで業務効率が上がる。

■ 在宅ワークのデメリット
一方で、デメリットとして多く挙げられたのが 「コミュニケーション」と「生産性」 に関する課題です。出社回帰が進む背景ともリンクしており、求職者自身も「対面の重要性」を再認識している様子がうかがえます。
- 環境面の負担:光熱費・通信費の増加、運動不足になりやすいといった自宅特有の負荷。
- コミュニケーション不足:上司・同僚との会話が減ることで孤独感が生じたり、情報共有が遅れるケースも。
- 生産性が落ちる可能性:自己管理が難しく、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすい。
- 新人・短期入職者にはハードルが高い:業務理解が浅い段階では、自宅での作業が難しく、育成にも時間がかかる。
■ フリーコメント
在宅ワークに対する「リアルな生の声」は、具体的な制度設計のヒントにもつながります。
次に、一部のフリーコメントをご紹介します。
▼在宅ワークのメリット
| 区分 | コメント |
| 自由度 | ・在宅なので自分の好きなタイミング(都合)に合わせて仕事を始められたこと。 ・時間の有効活用ができる。 ・自分だけの集中時間を確保できる。家事を並行して行える。 |
| 生産性 | ・資料作成を集中して行うことができた。 ・朝の準備の時間が短縮。通勤時間、お弁当の準備も不要。昼休みに家事が可能。誰にも邪魔されなく仕事に没頭できる ・超満員電車でほぼ気力や体力を奪われたり、遅延するかも、などムダに早く家を出て始業時間まで無意味な無給仕事をしたりというストレスがないので、全力で業務に取り組め効率が良いところ。 |
| 通勤時間 | ・通勤の時間を削減できて体力的に楽だった。出社しての勤務だと声をかけられることの多い業務だったので在宅ワークではそれが少なくなるため自分の仕事に集中できた。 ・通勤時間がなくなることで、プライベート時間も長く確保することができ、気持ちに余裕ができることで精神的にもストレスなく効率よく業務ができる。 ・通勤時間が減って、生活に余裕ができた。 |
| 両立 | ・育児の関係で休暇にせず業務できたり、残業対応ができる。 ・家事育児と両立ができるし、集中して業務ができる。 ・子供の通学や休みに合わせて仕事がしやすくなった。小学生だと預けられるところも限られているので、非常に助かってます。 |
▼在宅ワークのデメリット
| 区分 | コメント |
| 環境 | ・シンプルに光熱費が上がる。外出頻度も下がるので筋力が下がる。 ・運動不足になること。 ・水道光熱費、通信費がかかる。 ・外に出ないため、体が怠ける。 ・一人暮らしのときは誰とも喋らずに終わることもあった。 ・誰とも喋らない孤独感を感じる |
| 自由度 | ・まったく出社しない人がいて、何をしているか不明なことがある。 ・仕事とプライベートの境界がないように感じる。時間外も働いてしまう。 ・自宅の机と椅子は仕事に向かず体が痛くなった。通勤はできそうにない体調でも在宅ワークなら無理して行ってしまうことがあった。 ・自身は長年勤めている会社での在宅ワークたからできたがある程度会社のことや他の人の事を知らないと在宅ワークをできる業務は限られてくると感じた。 ・誰にも見られず、緊張感がないので怠けてしまう。 |
| 生産性 | ・顔が見えないので、コミュニケーションを自分から進んで取らないと、円滑さに欠ける。 ・業務に集中する環境がつくりにくい ・時間管理を自分でしないといけない。メリハリがなく飽きる。効率が落ちる。 ・上司や同僚とのコミュニケーションが取りづらく、周りの状況が把握できない。 ・聞くのが手間なので後でいいやと後回しにしてしまう作業が増えた。 ・人に聞きたいことがある時に手軽に聞けなくて面倒くさい |
中小企業でもできる導入・改善策
在宅ワークにはメリット・デメリットの両面がありますが、企業側に必要なのは 自社で無理なく運用できる範囲で環境を整えることです。フルリモートでなくても、「週1回だけ在宅可」「一部業務のみ在宅可」といった取り組みでも、十分に採用の魅力向上につながります。具体的には、以下の工夫が効果的です。
① 在宅ワークの対象業務・頻度を明確化
事務作業のみ在宅可、週2回までなど
② 環境面のサポート
PC・モニターの貸与、光熱費・通信費の一部補助など
③コミュニケーション設計
定期朝礼、1on1、雑談の時間を意図的に設けることで孤立感を軽減
④成果を基準にした評価ルールづくり
進捗が見える状態を整え、在宅でも安心して任せられる体制に
⑤新人は段階的にリモートへ移行
入社直後は出社中心、慣れてきたら在宅比率を高める
関西ぱどでも女性社員が多く、一部職種では在宅ワークを取り入れています。特に最近は、上記の「コミュニケーション設計」や「成果で評価する仕組み」を改善しながら、対象者を徐々に拡大しています。企業側のメリットとしては、交通費の削減や、時間的制約のある人材が離職せず働き続けられる点が挙げられます。
もちろん、まだ試行錯誤の段階ではありますが、新しい制度は最初から完璧を目指す必要はありません。採用活動と同じく、小さな改善を積み重ねて育てていく姿勢が大切です。
まず取り組むべき第一歩は、「業務の見える化」。「誰が・何を・どこまで進めているのか」が把握できる仕組みをつくることで、在宅ワークはぐっと導入しやすくなります。
まとめ
企業と求職者の間でニーズが分かれる「在宅ワーク」ですが、今回のアンケートから 半数以上の女性にとって在宅ワークは働きやすさを左右する重要な要素であることが分かりました。女性をターゲットに採用を強化したい企業にとっては、在宅ワークの導入や柔軟な働き方の選択肢を整えることが差別化につながります。
一方で、在宅ワークにはメリット・デメリットが存在するため、制度設計をする際には、その両面を踏まえた運用ルールづくりが不可欠です。
また、本アンケートで浮かび上がった共通の課題が「コミュニケーション」。企業側・求職者側のどちらも “対面コミュニケーションの重要性” を実感している点が印象的でした。
在宅と出社をどのように組み合わせればコミュニケーション課題を解消できるのか?
どのような仕組みであれば社員の孤立や情報伝達のズレを防げるのか?
こうした視点を持ちながら、自社に合った在宅ワーク制度を検討していくことが、採用力向上だけでなく定着にもつながるはずです。
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