【2024年】最低賃金引上げの影響と企業の対策

1. 今年の最低賃金引き上げ額

今年も最低賃金の改定が行われ、2024年度は昨年度の引き上げ額(43円)をさらに上回り、全国平均で50円の引き上げが決定しました。
これにより全国加重平均額は1,054円(昨年1,004円)となり、新たな最低賃金額は10月以降に適用されます。

◆具体的な都道府県別の最低賃金
最低賃金のトップは東京都の1,163円、2位は神奈川県の1,162円、3位は大阪府の1,114円となりました。

関西では京都が1,058円、兵庫は1,052円となっています。

参照:厚生労働省令和6年度地域別最低賃金改定状況

2. 過去最高の引き上げ額50円になった背景

最低賃金が過去最大の50円引き上げとなった背景には、以下の3つの要因があります。

  • 2023年の春闘で高い賃上げ率(5.1%)が実現し、その流れを中小企業へ波及させるべく非正規社員を含めた幅広い層での賃上げが求められた。
  • 急激な物価上昇に伴う家計負担の軽減が必要と判断されたため、大幅な引き上げが実施された。
  • 賃金格差が労働力の都市部集中の要因になっており、地域間格差の是正に向けて3ランク全て一律に引き上げとなった。

これらの要因が組み合わさり、最低賃金が過去最大の引き上げに至ったと考えられています。

3. 引き上げによる企業への影響

3-1. 人件費の増加
最低賃金の引き上げに伴い、全体的な人件費が増加します。
特に中小企業や飲食店、サービス業など多くのアルバイト・パートを抱える業界では、コスト負担が大きくなり、経営を圧迫する要因となります。

3-2. 採用競争激化
人件費が増加すると、新規の採用コストを削減せざるを得ない状況にもなります。

また、これまでであれば他社と比較して優位だった時給でも差別化ができなくなり、競合他社との競争が激化します。

3-3. 人手不足 
扶養内で働きたいと考えるスタッフは、労働時間を短くせざるを得ない状況になります。

その結果、これまでと同じ人数なのに現場は人手不足、という状態になることが考えられます。

4.引き上げへの企業の対策

4-1. DX化による業務効率化
最低賃金引き上げをきっかけとして、DX(デジタル化)による業務効率化を進めることが重要です。
特に、ルーティーンワークや多くの人手を必要としている業務を自動化・仕組化することで、その業務に割いていた人手を別の業務に回すことが可能になります。
従業員一人あたりの生産性向上は、個人のスキルアップにもつながります。

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4-2. 労働時間の見直し
業務効率化を推進するためにも、労働時間の見直しが重要です。特に、残業を減らすための取り組みはコスト削減に直結します。
従業員が効率的に働ける環境を整え、定時内に業務を完了できるよう、定期的にヒアリングをしながら業務フローを見直しましょう。

4-3. 補助金の活用
最低賃金引き上げへの対策として、政府の補助金を活用することも有効です。
業務改善や人材育成を目的とした補助金を活用することで、企業の生産性を高めるための投資が可能になります。
特に、IT導入やシステム改革に関連する補助金を活用すれば、コストを抑えつつDXを推進できます。

※参照:厚生労働省 賃金引き上げ特設ページ

まとめ

労働者にとっては好影響となる最低賃金の改定ですが、企業にとっては人件費の増加や採用難にさらに拍車をかけるなど、厳しい影響もあります。
しかし、労働力不足が避けられない今後において、DX推進や業務の効率化は必要不可欠です。
これを機に見直しを図り、業務改善に向けた環境整備を進めていきましょう。

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