
30代は企業の成長を支える重要な存在ですが、一方でキャリアの岐路に立ち「このままでいいのか?」と不安を抱えやすい時期でもあります。実は、この不安の背景には「クォーターライフクライシス」という心理的要因が関係しています。これは、キャリアや人生について漠然とした不安を感じる心理現象で、多くの30代が直面するものです。
では、30代社員は具体的にどんな悩みを抱え、それに対して企業はどのようにサポートできるのでしょうか?今回は、関西ぱどで働く30代社員にグループインタビューを実施。リアルな声をもとに、キャリア不安を抱えやすい30代社員に対して企業が実践できる3つの具体策を提案します。
こんなお悩みを抱える方に読んでほしい内容です
◆ 30代社員の離職が増えているが、原因が分からない
- 経験を積んで主戦力になった社員が突然退職してしまう
- 30代社員のキャリア不安を理解しているが、どう向き合えばいいのか分からない
◆ 30代社員が成長・定着する環境が整っていない
- 研修やキャリア支援の仕組みが不十分
- 企業として適切なサポートができていない
◆ 30代の離職を防ぐために、管理職の関わり方が課題
- 上司や管理職がどのように関わればいいのか分からない
- コミュニケーションや評価制度が適切でない
30代のキャリア不安の背景:クォーターライフクライシスとは?
クォーターライフクライシスとは、20代後半から30代にかけて多くの人が経験する「キャリアや人生の方向性に対する迷い」のことです。ある程度の経験を積んだことで責任ある仕事を任される一方で、「このままでいいのか?」と悩みやすくなります。特に以下のような悩みを抱えやすいのが特徴です。
① キャリアの選択に迷う
仕事の責任が増え、選択肢が広がる一方で、「今の会社・職種で成長し続けられるのか?」という不安を抱える。
② 周囲との比較による焦り
会社の仕組みが見えてくることで、他社の待遇や同世代の昇進スピードと比べてしまい、自分のキャリアに自信を持ちにくくなる。
③ 相談できる相手がいない
キャリアの悩みを誰に相談すべきか分からず、不安を一人で抱え込んでしまう。また、結婚・育児・住宅購入などプライベートでも重要な決断が増え、公私のバランスに悩む。
30代はキャリアの分岐点となる重要な時期。企業としても、社員が適切な自己認識を持ち、将来に前向きになれる環境を整えることが、離職防止や定着率向上につながります。
インタビューから導いた!30代のキャリア不安を解消する3つの具体策
では、企業は具体的にどのようなサポートができるのでしょうか?関西ぱどで働く30代社員に実施したグループインタビューの結果をもとに、企業が実践できる3つの対策を紹介します。
① 「期待と評価」を見える化して、モチベーションを高める
30代の社員がキャリアに不安を感じる大きな要因の一つは、「自分がどのように評価され、どのような成長を期待されているのかが分からないこと」です。年齢に関係なく、人は他者から期待され、承認されることで自尊心を高めます。実際のインタビューでも、その傾向が見られました。特に30代は、役割が不明確だと、自分がどの仕事を引き受けるべきか判断しづらくなります。20代の頃に比べて仕事の範囲が広がり、責任が増えることが、かえって不安を引き起こす場合もあります。そこで、企業として以下のポイントを意識することで、社員が自身のキャリアの方向性を見出しやすくなります。
◆具体策
・業務領域や期待される役割、評価基準を明確にし、定期的な1on1ミーティングで認識をすり合わせる
・短期的な目標を設定し、達成感を積み重ねることで成功体験を得やすくする
・定量的な評価制度を設計し、相対評価と絶対評価を組み合わせて社内の納得感を高める
② 「相談しやすい環境」が、安心感をもたらし定着率を高める
キャリアに悩む30代にとって、気軽に相談できる環境は不可欠です。悩みを自分ゴトとして捉え、親身に話を聞いてくれる存在がいるかどうかで、企業への帰属意識は大きく変わります。「気にかけてくれる人がいる」「この人に相談してみよう」と思える環境があれば、離職の抑止にもつながるでしょう。そのため、企業として以下の取り組みを意識することが重要です。
◆具体策
・1on1面談やキャリアカウンセリングを定期的に実施し、社員が不安を共有しやすい環境を整える
・「論理的な根拠(評価)× 共感(相談相手)× 接触頻度(期待)」の3要素を意識し、適切なフィードバックとサポートを継続的に行う
③ 他部署の情報をオープンにして、組織の一体感を高める
「自部門のことは分かるが、他部署のことは知らない」という状態は、組織全体の生産性低下につながります。縦・横の組織間で情報を正しく、タイムラグなく共有することで、社員同士が他部門にも関心を持ちやすくなり、組織の一体感が生まれます。部署は違えど、企業として目指す方向は同じはずです。組織全体の円滑なコミュニケーションを図るためには、企業として以下の取り組みが有効です。
◆具体策
・部署間の連携を強化し、社員同士が他部門の業務に関心を持つ文化を作る
・上司自身がいきいきと働く姿を見せ、キャリアのロールモデルを提供する
まとめ
貴社では、30代社員のキャリア不安にどのように対応していますか?
「最近、30代社員のモチベーション低下や離職が増えている」——
それは、キャリアの不安を解消する環境が十分に整っていないことが原因かもしれません。
30代の定着率を高め、社員の成長を支えるためには、企業が積極的にキャリアの見える化や相談しやすい環境づくりに取り組むことが重要です。まずは、30代社員と1on1の場を設け、悩みや不安を聞くことから始めてみませんか?
参考:インタビュー項目
①仕事での悩みを教えてください
②プライベートでの悩みを教えてください
③「仕事で何がしたいか?」分からなくなることはありますか?
④具体的にどんな時にそう感じますか?
⑤その時、どのように対処しますか?
⑥なぜ、推進力を高められる人が少ないのか?
⑦「プライベートで何がしたいか?」分からなくなることはありますか?
⑧具体的にどんな時にそう感じますか?
⑨仕事でどのようなキャリアを考えてますか?
⑩それを実現するための壁はなんですか?
⑪仕事で壁を乗り越えた成功体験があれば教えてください
⑫どのような人生を実現したいですか?
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