採用難が続く中、応募数を増やす活動だけでなく、面接における応募者対応も企業にとって非常に重要です。
面接での対応次第で、企業の印象や採用の成功率に大きく影響を与える可能性があります。
ある調査※1では、「面接がきっかけで志望度が下がった」という経験がある人が半数以上に及ぶとの結果も出ています。
※1 面接がきっかけで「志望度が下がった」人は6割 理由は「進行の不適切さ」—Value market調べ 参照
また、面接で不快な思いをした人の約8割はその経験を誰かと共有するとも言われています※2。
口コミやSNSへの記載で、あっという間に情報が拡散してしまう時代です。
面接官は企業の「顔」であることを忘れずに、マナーやモラルを守らなければなりません。
※2 初めての面接官マニュアル|面接の流れと「見極める」方法【ガイドブック付】マンパワーグループ 参照
面接は単に応募者を選考する機会ではなく、企業アピールの場でもあります。
面接は双方向の評価の場と考え、適切な進行と配慮が良い印象を生む鍵となります。
今回は、面接で注意したいポイントについて具体例も交えながらご紹介します。
効果的な面接の始め方
応募者が気負わず話せる環境を作るために、まずは来社のお礼と面接官の自己紹介から始めましょう。
面接官自身の立場や募集の背景などについて、積極的に自己開示すると好印象です。
その後もいきなり本題に入るのではなく、話しやすい話題から始めると良いでしょう。
例えば、当日の交通経路や天気など、相手自身に関わらない話題で、応募者の緊張を和らげることができます。
面接で聞いてはいけない質問とは?
応募者の適性・能力とは関係ないことで採否を決めないために、厚生労働省の公正な採用選考の基本によって面接で避けるべき質問(人種、宗教、家庭環境など)が示されています。
これらをしっかり理解し、個人情報のプライバシーに配慮することが求められます。
面接官が気を付けるべき具体的な質問例を以下に示します。
■聞いてはいけない質問例
①人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地など
例: 「本籍は現住所ですか?」や「生まれはどこですか?」
②人生観、社会観、生活信条、支持政党や宗教等、思想・信条
例: 「尊敬する人物は誰ですか?」や「愛読している本はありますか?」
③家族の職業や収入、住宅事情、資産などの家庭環境や家族構成
例: 「ご両親の職業は何ですか?」や「自宅の周辺で目印になるものは何ですか?」
特に家族や居住地に関する質問は無自覚で尋ねてしまうこともありますので、面接官としては注意が必要です。
※大阪労働局 就職差別につながる不適切な質問の例 参照
面接におけるトラブルを防ぐための具体例
では、実際の面接ではどのようなトラブルが起こりうるのでしょうか。
全国求人情報協会の発信をもとに、実例を交えたトラブル回避術を紹介します。
1. 面接日を忘れられた
応募者が指定された日時に面接に来たが、企業側が面接のスケジュールを忘れていた。
その結果、応募者は不安を感じ、企業に対する信頼を失った。
→事前に社内で面接スケジュールを共有し、日程変更がある場合は早めに応募者に連絡する。
2. 配慮が足りない面接環境
他の従業員がいる場所で面接が行われ、プライバシーが守られなかった。
応募者が自分の履歴書が無造作に置かれているのを見て、個人情報が適切に扱われていないと感じた。
→面接は個室で行い、他の応募者の情報が見えないように配慮することが重要。
3. 聞いてはいけない質問
面接官が応募者に家庭の経済状況や宗教について尋ねたことで、応募者が不快に感じた。
→聞いてはいけない質問を把握し、代わりに職務に関連した具体的な質問を使用する。
4. 面接時間の遅れ
面接官が遅れて到着し、応募者が長時間待たされて不満を感じた。その結果、応募者のモチベーションが低下した。
→面接官は時間厳守を心がけ、万が一遅れる場合は事前に応募者に連絡を入れる。
5. 無給の実技テスト
面接時に「2~3時間の実技テストを行う」と言われ、応募者が無給での労働を強いられるのではないかと不安を抱いた。
→実技テストが必要な場合は、短時間での実施や内容について十分な説明を行い、応募者の不安を和らげる。
6. 期待と異なる職務内容
応募者が募集広告に記載された職務内容と異なる仕事を提案され、不信感を抱いた。
→求人広告の内容を正確に反映し、面接時には応募者の希望をしっかり聞き取ることが重要。
まとめ
面接は、応募者と企業が対等な立場で「お互いにマッチしているのか」を確かめる大切な場です。
面接の進行一つ一つが、応募者にとって企業のイメージを形成する要素となるため、適切な進行と配慮が求められます。
面接官が企業の「顔」であることを意識し、応募者に対して誠実かつ丁寧な対応を心がけることで、企業への信頼を高めることができます。
企業は面接官への教育・研修を定期的に行い、採用力向上につなげていきましょう。
30年の実績で積み上げた採用ノウハウをお伝えします